宇宙物理学研究室

広島大学 大学院 理学研究科 物理科学科専攻

相対論的天体現象の研究(小嶌)

観測的に、ブラックホールの存在の証拠が確かになっています。 このような天体の重力は非常に強く、一般相対論を用いた取扱いが必要となります。ブラックホールそのものを観測することはできませんが、ブラックホールは周りの物質の運動に大きく影響を与えます。その降着円盤の形成と進化、あるいは安定性に特徴が現れるので、それを理論的に研究しています。また、コンパクト星(中性子星やブラックホールの総称)の形成や変動現象についても研究しています。動的な過程には重力波の発生が伴い、 将来観測されるべき重力波に如何に物理的情報が含まれるかを探求しています。

パルサーやマグネターの磁気圏構造の解明(小嶌)

パルサー(強磁場をもつ回転中性子星)が発見されて約40年になります。 外部へのエネルギー輸送過程には、強磁場と回転が重要な物理的要因として考えられているが、不明な点も数多くあります。 マグネターはパルサーよりさらに強い磁場をもっていると示唆される 天体であり、バースト現象を示します。このような天体の磁気圏構造の解明をシミュレーションを通じて行っています。

銀河団の多波長研究(岡部)

銀河団の質量の約85%が目に見えることができない物質、暗黒物質(ダークマター)、約10%が高温プラズマ(銀河団ガス)、約5%が銀河で構成されています。 暗黒物質は重力レンズ効果、高温プラズマはX線やスニヤエフ・ゼルドビッチ効果(SZ効果)、銀河は光学・近赤外・紫外などで観測されます。 これらの観測手法はそれぞれの構成要素を直接見るため、相補的と言えます。これらのデータを組み合わせて、それぞれの物理量がどの様に関係しているのかを研究し、 銀河団の構造・形成・進化の解明を目指しています。

銀河団の弱い重力レンズ解析(岡部)

背景銀河に対する重力レンズ効果は対象天体の力学状態によらず質量を測定する唯一の手法です。中でも重力レンズ信号が弱いレンズ現象を弱い重力レンズ効果と呼びます。 銀河団は太陽質量が10の14乗から15乗までに達する宇宙で最大の天体であり、弱い重力レンズ効果で質量が測定できる天体の一つです。 私達は、すばる望遠鏡主焦点カメラの撮像データを用いて、銀河団領域の弱い重力レンズ効果の解析を行い、銀河団の質量構造とその進化の解明を行っています。