更新日: CORE-U Seminar: 三角樹弘 准教授 (近畿大学理工学部・大学院総合理工学研究科)
- 発表者:
三角樹弘 准教授 (近畿大学理工学部・大学院総合理工学研究科)
- 日時:
05/16 (日) 14:35- (JST) @オンライン (Teams)
- 題目:
リサージェンス理論で挑む量子非摂動現象の解明
- 概要:
量子論,特に場の量子論とそれによって記述される素粒子相互作用の非摂動現象の解析法は, 格子シミュレーションによる数値的手法を除いて一般的に見つかっていない.クォーク閉じ込めと質量ギャップの問題はもちろん,多くの物理量に少なからずQCDセクターからの非摂動的寄与が含まれているため,非摂動解析法の確立は重要な研究テーマである.また物性論においても高温超伝導や近藤効果をはじめとして非摂動現象の理解がたびたび重要になる.近年注目を集めるリサージェンス理論は,結合定数など理論に含まれるパラメータについての摂動展開から,ボレル総和法とストークス現象という飛び道具を用いて非摂動的寄与を抽出する手法である.この手法は場の量子論の非摂動的定式化という原理的問題にも一つの可能性を提示しており, 単なる解析手法という枠を超えてその重要性が認識され始めている.本セミナーでは,近年のリサージェンス理論の量子論への応用について,複素古典解,Bion半古典解析,赤外リノーマロン,Exact-WKBなどのテーマを中心に最近の発展を概説する.